ヘルスケア
ヘルスケア事業領域では、社会保障費の増大と生産年齢人口の減少により、「現役世代の負担がより深刻になる」という社会課題に対し、「健康な労働力人口の増加」に貢献することで解決を目指しています。
※私たちは、高齢社会において解決すべき重要な社会課題が3つあると考えており、その解決へ向けて4つの戦略的事業領域を定めています。
生活習慣病とメンタル不調が招くQOLと労働生産性の低下
生産年齢人口の減少により、日本では今後、あらゆる産業で労働力が不足すると予想されます。しかも現役世代の中には、糖尿病などの重篤な病や認知症に進行することも多い生活習慣病の患者やその予備群が多く存在しており、メタボリックシンドロームなど生活習慣病リスクが高い人が該当する特定保健指導の対象者数は512万人(2022年)※に上ります。また、過労や職場でのストレスなどに起因したメンタル不調も近年増加傾向にあり、うつ病などの気分障害が原因で医療機関を受診する患者数は172万人(2020年)に達しています。
こうした心身の健康にまつわる課題が、日本経済を働き手として支える現役世代のQOL(生活の質)と労働生産性の低下に拍車をかけています。
労働力の減少を食い止め、その生産性を高めていく上では、人々が長く健康に働けることが何よりも重要です。そのため、フィジカルとメンタルの両面からのアプローチによる生活習慣病の早期予防・改善や、メンタル不調に対する予防・対策が強く求められるようになっています。
このような背景を踏まえ、国も生活習慣病予防やメンタルヘルス改善のための対策に力を入れており、中でも企業が従業員とその家族の健康増進に取り組む「健康経営」の普及促進に向けた政策を積極的に推進しています。
※特定健康診査の結果、指導対象となった人の数。特定健診の実施率は57.8%(2022年)のため、実際にはさらに多くの対象者が存在すると推測されます。
私たちは、このような生活習慣病やメンタルヘルス不調によるQOLと労働生産性の低下という課題を、次に掲げるミッションの実現を通じて解決したいと考えています。
生活習慣病やメンタルヘルス不調の予防・改善を通じ、QOL向上と健康な労働力人口の増加に貢献する
健康経営支援プラットフォームの構築
ヘルスケア事業領域では、企業向けの「健康経営支援プラットフォーム」を提供しています。健康経営支援プラットフォームとは、医師や看護師、管理栄養士など医療従事者の力を活用したエビデンスに基づくデジタルヘルスサービス※を企業や健康保険組合に提供することにより、従業員とその家族の健康増進を実現し、蓄積した健康データを活用してさらに品質の高いサービスを開発・提供していく一連の仕組みを指しています。
例えば、遠隔での「特定保健指導サービス」では、健保組合に対し、官公庁との実証実験の成果に基づいた管理栄養士による栄養指導を提供し、従業員(被保険者)とその家族の生活習慣病予防をサポートしています。スマートフォン等を活用した完全リモート型のサービスで、介入頻度の高さや時間・場所の制約を受けないため継続しやすいメリットがあります。
また、「リモート産業保健サービス」では、企業の人事・労務部門に対し、産業医訪問やストレスチェックの実施、衛生委員会の立ち上げ・運営といった産業保健業務を総合的に支援しています。産業医に加え産業看護職が、訪問とリモートを組み合わせて、業務支援や従業員との面談を行う点が特徴で、2名体制によるサポートを通じて、企業の人事・労務担当者の業務負担軽減と、心身に不調を抱えた従業員に対するより良いメンタルケアの実現を支援しています。
※デジタルヘルス:AI、ICT、IoT、ウェアラブルデバイス、ビッグデータ解析など最新のデジタルヘルス技術を活用し医療やヘルスケアの効果を向上させること
利用企業数の拡大とサービス拡充で提供価値を最大化
ヘルスケア事業領域のミッションである「QOL向上と健康な労働力人口の増加」を実現するには、健康経営支援プラットフォームを通じてより多くの企業や利用者に価値提供していくと同時に、サービスの付加価値を継続的に高めていくことが必要になります。
このため、私たちは健康経営支援プラットフォームの提供先を健康保険組合や中小企業から病院、介護事業者へと拡張し(1)、健康経営に必要な新たなデジタルヘルスサービスを開発・提供していくことで(2)、当社サービスの提供先企業と利用者の数を増やしていきます(3)。また、当社が保有する看護師や管理栄養士のネットワークを活用して医療従事者を安定的に確保・育成していくことで(4)、良質で付加価値の高いサービスを実現します。そして、蓄積した多くの健康データを分析・活用し(5)、新たなサービスの開発と既存サービスの改善につなげることで、生活習慣病やメンタルヘルスの予防・改善の実効性を高め、健康経営支援プラットフォームの提供価値を最大化していきます。
人々が健康で長く働ける社会を実現
私たちはヘルスケア事業領域のミッションを実現することで、「現役世代の負担がより深刻になる」という社会課題の解決に貢献していきます。
私たちが提供する健康経営支援プラットフォームを通じて生活習慣病やメンタルヘルス不調を予防・改善することにより、企業で働く従業員(エンドユーザ)は、より良い暮らしを送ることができるとともに、長く健康な状態で働けるようになります。また、健康で生産性高く働く従業員が増えることで、雇い主である企業(事業者)の経営効率も向上していきます。
さらに、私たちが遠隔での保健指導など新たな働き方の選択肢や機会を提供することで、看護師や管理栄養士などの医療従事者は、育児との両立などライフスタイルに合ったキャリアを選択することができ、やりがいをもって働き続けられるようになります。生涯を通じてイキイキと働く医療従事者からのサービスを享受することで、エンドユーザは、健康的に長くイキイキと働くことが可能となります。
このように、私たちは、健康な労働力人口の増加に貢献することで、高齢社会に生きる人々の生活の質の向上を実現していきます。
提供するサービス
遠隔指導特定保健指導サービス
健康保険組合向け特定保健指導サービス。完全リモート型のサービスで、Web面談後、食事や体重等のデータをもとに管理栄養士がチャットを通じた定期的な栄養指導を実施。特定保健指導の実施率・継続率の向上、全国各地の対象者への対応など、医療保険者の課題解決も支援しています。生活習慣病の予防・改善を通じた、QOL向上と健康な労働力人口の増加への貢献を目指しています。
企業の健康管理業務サポート
企業の人事・労務担当者に向けた産業保健業務のサポートプログラム。産業医訪問やストレスチェックの実施、衛生委員会の立ち上げ・運営などを支援。産業医と産業看護職の2名体制で、訪問とリモートを組み合わせ、企業経営者・人事労務の負荷軽減と従業員の健康を実現します。従業員に対する心身のケア実現を通じ、QOL向上と健康な労働力人口の増加への貢献を目指しています。
遠隔指導重症化予防サービス
生活習慣病予備軍や、軽度および中度の糖尿病患者向けサービス。Web面談後、担当の管理栄養士がチャットを通じ、一人一人にあわせて定期的な栄養指導を実施します。
ICTを活用した禁煙サポート
幅広い喫煙層に向けた禁煙サポートサービス。禁煙情報の提供と卒煙担当アドバイザーによるインタラクティブなサポートを通じ、喫煙欲求を乗り越える意思をサポートします。
行動療法に特化した禁煙サポート
医師監修の禁煙情報の提供と個々の喫煙心理に働きかけるアドバイザー支援で、3か月で卒煙を目指すプログラム。健康経営に役立つ分析レポートの提供も可能です。
企業の介護離職防止ソリューション
企業人事向けと従業員向けのプログラムを組み合わせて提供。ICTを活用した、専門家によるリモート面談や介護専門イントラネット、教育プログラムなどが利用可能です。
女性の健康経営サポート
働く女性従業員とその管理者に向けたプログラム。女性の健康課題に対するリテラシー向上のための情報提供や、医療職による遠隔指導での生活習慣改善サポートを通じて、働く女性の健康推進を支援しています。
管理栄養士・栄養士向けコミュニティ
献立を投稿・閲覧し、コメントができる献立レポ、栄養士業務に特化したQ&Aページ、求人情報や働き方などのコンテンツを提供。栄養士を多方面からサポートしています。
産業保健に関わる人向け情報
専門家監修のもと、労働安全衛生法など関連法規からストレスチェック、産業医選任、健康経営まで、産業保健の情報を人事労務担当者、産業医、産業看護職に向け提供します。
認知症患者とその家族向け認知症情報
専門医監修のもと、認知症の基礎知識を伝える読み物や動画、最新ニュースなど、認知症・MCI(軽度認知障害)の早期発見・予防・改善をサポートするコンテンツを提供。
認知症予防ソリューション
MCIクリニック専門医監修のもと認知症の予防・改善・遅延を目指すWebプログラムを提供。トレーニング教室では、専門トレーナーが認知機能エクササイズを実施します。
認知症予防の習慣化サポート
専門医監修のもと開発した、食事・生活習慣の指導と、運動・脳トレを組み合わせたプログラム。サービス実施から解析結果レポートの提供までワンストップで行います。
自治体向け調査・計画策定・予防事業
高齢者の保健事業と介護予防の一体化に向け、各種調査、地域課題の整理・分析や施策の策定、特定保健指導や介護・フレイル予防教室等具体的な対策実施までをワンストップで支援。
医療介護業界特化型ストレスチェック
全国の医療機関・介護事業所との比較が可能な集団分析結果や、セルフケアアドバイスを記載した個人結果を提供。組織内の課題を明確にし、離職防止・人材定着につなげます。