介護事業所の早期離職防止へ、新規入職者への遠隔チャットサポート実証、全国老施協に加盟する高齢者福祉施設・事業所の介護職員対象に提供開始~試験導入では3か月以内の離職が12%減、入社直後の不満や不安を解消し定着支援~
2019年11月1日
株式会社エス・エム・エス(代表取締役社長:後藤夏樹、東証一部、以下「当社」)は、当社が提供する介護事業所の新規入職者向け遠隔チャット相談「介護職スタートアップサポート」(以下「本サービス」)について、公益社団法人全国老人福祉施設協議会(所在地:東京都千代田区、代表者:平石朗、以下「老施協」)に加盟する全国の高齢者福祉施設・事業所などへの提供を開始いたします。
超高齢社会に突入し介護ニーズが増大する一方で、団塊の世代が75歳以上になる2025年には、介護職員が約34万人不足する恐れがあるとの推計が公表されており、介護の人材不足は深刻です。※1
国は、10月の介護報酬改定で、消費税増税分を財源にリーダー級の介護福祉士に介護報酬を上乗せする「特定処遇改善加算」を導入し介護職員の処遇改善を図るなど、介護人材確保対策を進めています。
一方で介護職員の離職率は16.2%と高く、離職者の38.8%は勤続期間1年未満の早期離職となっています。※2
当社調べの職場の満足度に関するアンケート調査によると、早期離職の主な原因は、「職員間の人間関係」「業務に対する不安」が上位となっており、また入社以降ストレスを強く感じるのは「就業後1週間以内」と「1か月後」という結果が出ています。※3
入社初期に適切なコミュニケーションや関わりを持つことで、早期離職の防止に繋げることができると考え、当社では、新規入職者を対象とした本サービスを試験的に実施してきました。新規入職者に対してサポーターがチャットを通じて、定期的に業務に関するアドバイスや、不満・不安を聞くことで、離職リスクとなるストレスなどを軽減し、3か月以内の離職が12%減少するなど一定の成果が得られています。
また、老施協では、介護事業所の職員確保、介護業界からの人材流出防止の重要性を鑑み、介護職員が働きやすい環境を整えるための経営支援策の検討を進めています。
この度、本実証について老施協に加盟する高齢者福祉施設・事業所などへの提供を開始いたします。
【実証概要】
老施協の会員を中心にサポート対象者となる新規入職者の募集を行い、当社の電話や訪問によるヒアリングを経て、実証を開始します。実証期間は、11月以降の開始から半年程度を見込んでいます。 ①実証詳細 ・最初に対象者へ電話によるヒアリングを実施。その後、サポーターが、チャットにより定期的にコミュニケーション ・サポート期間は入社から1か月。チャットの頻度は毎日から、必要都度 ・介護業務に関する知識や、職場への不満、その他の不安について定期的にアドバイス ②対象者・老施協に加盟する全国の高齢者福祉施設・事業所へ新たに入社する介護職員ほか ③実証期間 ・2019年11月以降、実証開始から半年程度 介護職員の離職を防止し定着を促すことは、事業者の採用や育成などの負荷削減や、介護職員がイキイキと働く環境づくり、またイキイキと働く介護職員により利用者が質の高いサービスを受けられることに繋がります。 今後は、他企業・団体との連携をさらに積極化するとともに、新規入職者以外も対象とした介護職員への離職防止サポートなどの検証を進め、介護人材不足の解消に貢献していきます。 ※1:厚生労働省「第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について」より。2016年度と比較した場合、2025年度には55万人が不足。現状のままで推移した場合、34万人の不足。 ※2:公益財団法人介護労働安定センター「平成29年介護労働実態調査」より ※3:2018年6月「職場の満足度に関するアンケート」および2018年10月「定着支援サービスに向けた調査」より